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平和の温度ー8月9日の長崎と北九州をめぐって

私のふるさとは北九州です。
工業地帯として知られるこの街は長崎に落とされた原爆の第一目標地でした。
1945年8月9日の朝、原子爆弾を積んだB29が小倉上空に到着したとき、 天候による視界の不良のため長崎に投下目標が変更されました。
終戦後、アメリカ政府の発表でこの事実が判明し小倉では長崎とほぼ同時間に平和集会が行われています。 長崎の原爆は小倉に命をうけて生きてきた私達に、失われた命の尊さをいやおうなく感じさせるものです。 受け止めるには重いこの事実に対し私が享受している平和のあやうさ、平和の温度を写真で表現してみたいと考えました。
当時ポラロイド社が発売していたピンホールカメラを使用し 8月9日、長崎原爆の日に長崎を私が、小倉を母が担当し、親子で同時撮影を試みました。 母は写真をきちんと撮影したことがない還暦すぎの専業主婦。 撮れるかどうかはやってみないとわかりません。 しかし親子2世代で長崎と小倉の原爆の日を撮影することには意義があるのです。 もし小倉に原爆が投下されていたら私は存在しないのですから。 母がうまく撮影できなかった時は没企画と決め敢行しました。 こうして撮影できたのがここにあげた前半8月の写真です。 それに加えて後半1月の成人の日は私が撮影しています。
2つの対照的な集会をとりあげたのは、平和集会が喪の集まりであるのに対し成人式は命を祝う集まりだからです。
同じ都市が内包する生と死の時をともに並べることで、繁栄の中にある死の影、死の中にある命の光をあらわしました。
撮影に使用したピンホールカメラは写真機の元祖ともいえるもので長時間露光を必要とします。 本来はのんびりと風景を撮影する趣味的なカメラをあえて報道的なテーマに使い、写真上のブレやゆるぎで、とどまらない時や形あるもののあやうさ、こわれやすさを表現しました。
人物のほとんどは、昔の写真と同じように数秒の静止をお願いして撮影しています。 しかし1枚だけ自然に長時間で撮り、多くの人々が静止している写真があります。 長崎平和集会の11時2分、原爆投下時間。祈りの写真です。この作品はポラロイドギャラリーで発表、アサヒカメラ、CAPA、CREA などで紹介されました。

8月9日 長崎原爆の日
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8月9日小倉原爆の日
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翌年1月小倉成人式の日
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翌年1月長崎成人式の日
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